イヌ(犬、狗、学名:Canis lupus familiaris、ラテン語名:canis、英語名[国際通用名]:dog、domestic dog)は、ネコ目(食肉目)- イヌ科- イヌ属に分類される哺乳類の一種である。 属名 Canis、種小名 lupus はラテン語でそれぞれ「犬」「狼」の意。亜種名 familiaris はやはりラテン語で、「家庭に属する」といった意味。また、英語: familiar、フランス語: familier など「慣れ親しんだ」を意味する現代語の語源でもある。
古く日本ではヤマイヌ(狼)に対して「イエイヌ」とも言っていた。英語名 domestic dog は、伝統的な学名 C. familiaris(家族の-犬)を英訳にしたもので、日本では domestic dog の訳語として古来からのイエイヌの語をあてるようになった。
また、広義の「イヌ」は広くイヌ科に属する動物(イエイヌ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、キツネ、タヌキ、ヤブイヌ、リカオンなど)の総称でもあるが、日本ではこちらの用法はあまり一般的ではなく、欧文翻訳の際、イヌ科動物を表す dogs や canine の訳語として当てられるときも「イヌ類」などとしてイエイヌと区別するのが普通である。以下では狭義のイヌ(ヤマイヌなどを除くイエイヌ)についてのみ解説する。
イエイヌは人間の手によって作り出された動物群である。最も古くに家畜化されたと考えられる動物であり、現代でも、ネコ Felis silvestris catus と並んで代表的なペットまたはコンパニオンアニマルとして、広く飼育され、親しまれている。ただし比較されるネコと違って独特の口臭がある。
野生化したものを野犬といい、日本語ではあたかも標準和名であるかのように片仮名で「ノイヌ」と表記されることも多いが、野犬(やけん)を誤って訓読したため生じた新語であり、分類学上は種や亜種としてイエイヌと区別される存在ではない。
現在[いつ?]、ジャパンケネルクラブ(JKC)では、国際畜犬連盟(FCI)が公認する331犬種を公認し、そのうち176犬種を登録してスタンダードを定めている。 なお、非公認犬種を含めると約700 – 800の犬種がいるとされている。 また、世界全体では4億匹の犬がいると見積もられている。血液型は8種類。
家畜の群れの誘導や監視。羊飼いや牛飼いなどが口笛や声で与える指示に沿って、ヒツジやウシなどの群れなどの周囲を走り回ったり吠えて誘導する。(コーギー、ボーダーコリー、オールド・イングリッシュ・シープドッグなど)
牧羊犬、牧畜犬
荷物を運ぶ(犬ぞりは現代でも使われて人々に広く知られているが、昔は小さめの荷車を引かせることもあった。)
犬ぞりを引く(そり犬)
荷車を引く
人間の住居などを見張り、野獣や不審者の接近・侵入を防ぐ
番犬
日本犬
柴犬は日本犬
日本犬とは国の天然記念物に指定されている6犬種を始めとする古くから日本に存在する犬種の総称である。また、土佐闘犬などの外来の犬種を日本で交配して作出した犬種も含める場合もある。
秋田犬
甲斐犬
紀州犬
柴犬
四国犬
北海道犬
愛玩動物(ペット)、コンパニオン・アニマル(伴侶動物)として飼育される
愛玩犬
コンパニオン・ドッグ(英語版)
トイドッグ(英語版)(小型の愛玩犬)
TVのCMやドラマなどで視覚的にかわいがられる。あるいは「癒し」の提供。ペットフードのイメージ提供。
タレント犬、モデル犬、
病院、監獄などの各種施設で、患者などの心理面のケア。(セラピー犬)
体の不自由な人を助ける(主にラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバーなど)
身体障害者補助犬(身体障害者補助犬法)
盲導犬、聴導犬、介助犬
すぐれた嗅覚を活かし何かを探す、探知する、あるいは追跡する
狩猟での獲物の存在の探知、追跡。鳥が猟銃で撃たれ草むらなどに落ち見つかりにくい時の発見。猟犬(鳥猟犬、獣猟犬)(犬種はセッター、ポインターなど)。けものに遭遇した時には威嚇したり直接咬みつくこともある。
食材の探知犬。高級食材のトリュフを探すための専用犬、ポルチーニ茸を探すための専用犬などがいる。特定の食材の匂いを覚えており、場所を見つけ(食材を食べないで)飼い主に知らせるような訓練を受ける。
麻薬探知犬(世界的にはビーグルが多く、他にジャーマン・シェパード、ラブラドルレトリバー。ビーグルが選ばれる理由としては、犬の中でも優れた嗅覚を有しているから(小さいのでかわいらしく、旅客にとっての印象も良い。)。日本では主にジャーマン・シェパードとラブラドルレトリバー)。
警察犬。容疑者や被害者が身につけていたものや足跡の匂いなどを追跡する。(ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマンなど)。容疑者を見つけた場合に、容疑者が逃亡しようとしたり襲ってくる場合は腕などに咬みつく訓練も受けている。
遭難者の発見・救助。建物倒壊、雪崩、海洋遭難などが発生した時に活躍する(災害救助犬 海難救助犬)。
爆発物探知犬。DVD探知犬
戦闘犬(英語版)(攻撃犬とも称される)
軍用犬(自衛隊は警備犬と呼ぶ。航空自衛隊は元々「歩哨犬」と呼んでいたが改称された。)(ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマン、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアなど。)
対戦車犬(ソビエト軍がナチスドイツ戦車軍の対抗策としたが自軍にも被害を及ぼし失敗)
馬車の護衛として馬と共に併走する(グレート・デーン、ダルメシアンなど)
食用:犬食(チャウチャウ、ヌロンイ、フィリピン・エディブル・ドッグなど)。なお、現代日本では犬をみだりに食べることや、食べるために殺すことは法律違反である[43]。
中国、朝鮮半島、スイス、フィリピン、アフリカ、一部の北米原住民など
(イヌの肉は数千年前から食用とされてきた[44]。アジアでは今も年間1600万匹の犬が消費されており、特に中国ではよく食べられている[45]。韓国でも伝統的に犬を食べる習慣があり、年間消費量は100万匹[46]。フィリピンでは1998年にイヌ肉食が禁止されたが今も食べられている[45]。コンゴ川の流域では、肉を柔らかくするためイヌをじわじわとなぶり殺しにするという話もある[45]。食用とされる犬の数字についてアジアにおいて年間3000万という主張もあり(アジア動物親善連盟、2019年)、この場合は中国1500万、韓国700万、ベトナム500万ほかという内訳である[47]。
競技や曲芸などの娯楽に用いられる(闘犬、ドッグレースなど)
競走犬、演技犬
実験動物。 系統管理されたビーグルが使われることが多い
牧羊犬・牧畜犬
シープドッグ
キャトルドッグ
使役犬
ピンシャー&シュナウザー
モロシアン犬種
スイス・マウンテン・ドッグ&スイス・キャトル・ドッグ
テリア
大型・中型
小型
ブルタイプ
トイ
ダックスフンド
原始的な犬・スピッツ
そり犬
ノルディック狩猟スピッツ犬
ノルディック・ハーディングドッグおよびファームドッグ
ヨーロピアン・スピッツ
エイジアン・スピッツおよび関連種
原始的な犬
原始的な犬 – 狩猟犬
原始的な犬 – リッジバック狩猟犬
嗅覚ハウンド
嗅覚ハウンド
リーシュ・ハウンド
関連種
ポインター・セター
大陸種
英国・アイルランド種
レトリーバー、スパニエル、ウォーター・ドッグ(7G以外の鳥猟犬)
レトリーバー
フラッシング・ドッグ
ウォーター・ドッグ
愛玩犬
ビション類
プードル
ベルギーの小型犬
ヘアレス
チベット種
イングリッシュ・トイ・スパニエル
狆・ペキニーズ
小型モロシアン種
チワワ
コンチネンタル・トイ・スパニエル&ロシアン・トイ
クロムフォルレンダー
視覚ハウンド
長毛・房毛
ラフヘアー
短毛
また、複数の犬種を包括する概念として、この他に次のようなものがある。
ウォーター・スパニエル
狼犬
グレイハウンド
コリー
セッター
ツリーイング・ドッグ
ディンゴ・ハイブリッド
ハウンド
フォックス・テリア
フォックスハウンド
プードル・ハイブリッド
マスティフ
ライカ
犬の品種一覧(いぬのひんしゅいちらん)は、犬の品種(犬種)を一覧にしたものである。 すべてのイヌ(イエイヌ)は、オオカミ Canis lupus の亜種である Canis lupus familiaris に属する(古い分類では、種Canis familiaris とされていた)。したがって、人間によって作り出されたさまざまなイヌの品種(犬種)は、すべてイエイヌという亜種(ないし種)の中の、亜種よりさらに下位の分類階層である変種に過ぎない。ただし、同一亜種としては他に例を見ないほど、犬種間における形質差・多様性は著しい。世界のさまざまな地域の在来種や絶滅した犬種まで含めると、犬種の数は約700-800とも数千ともいわれる。なお、イエイヌを亜種ではなく、オオカミとは独立した種とみなす古い分類では、それぞれの犬種は亜種とされていた。
古代犬種の系統樹
犬種の一部は、決まった容姿や特質を世代を超えて維持・強化するために、ブリーダーや愛好家、犬種クラブ等によって「犬種標準」(スタンダード)が定められている。繁殖はその標準に沿うように進められ、これを証明するための血統書が発行されたりする。また、異なるブリーダーやクラブによって特定の性質が強化される中で犬種が分化することがある。更に、既存の犬種を意図的に交雑させて新しい犬種を作出することも盛んに行われる。これらの「犬種」には一部のブリーダーやクラブ、販売業者が主張するだけの小規模なものもあるが、一定の飼育頭数を得て犬種が確立されると、さまざまな畜犬団体に登録を申請し、認定されることで権威を得るものもある。登録されている犬種やその標準、分類等は団体によって異なるが、例えば2015年1月現在、国際畜犬連盟(Fédération Cynologique Internationale、略称:FCI)では、343犬種を公認し、これらを生存目的や形態によって、10のグループに分けている。日本のジャパンケネルクラブ (JKC) では、FCI公認犬種のうち194犬種を公認・登録し、分類もFCIにあわせているが、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア等の主要ケネルクラブでは、ケネルクラブ独自の分類を定めるものも多く、例えばアメリカンケネルクラブでは7グループに分けている。この中には、歴史的経緯等によって、ほとんど同一の犬種が団体によって別の名前で登録されている場合もある(アメリカン・ピット・ブル・テリアとアメリカン・スタッフォードシャー・テリア等)。